訂正をして詳しい事情を話そうと思ったが、断られては困る。


ここはどうにか誤魔化してコトを穏便に済ませよう。

うんうん!それがいいよ!



性格の宜しくない理事長は一つ、咳をして声を整える。



「もちろん。君が条件さえ飲んでくれるのなら退学は無しにしよう」



そもそも何もしてないから、退学なんてしなくていいのだけどねー。



罪悪感も多少あるが、彼女が素直に条件を飲んでくれればこれからの学園生活も楽しくなるだろう。



ろくなことしか考えない理事長の腹の中は真っ黒だ。



「分かりました。私に出来ることなら、なんでも」



コバルトブルーの瞳は揺るがなく真っ直ぐ理事長を見つめる。

緊迫感のあるこの状況を一刻も早く終わらせたい美咲は頭を下げ扉の方へ向かう。



「出来ることなら、なんでも。ね?」



後にこの言葉が美咲自身を苦しめることになることを彼女はまだ知らない。