「バーカ!そんなわけないし、そもそもアサミがそんなにモテるはずないだ…ゲフッ!!??」

何かを言いかけたバネさん…こと黒羽春風の背中を思いっきり蹴飛ばす。
つんのめって前に倒れるバネさん……それに追い討ちをかけるかのように、何故かサエさんが背中を踏みつぶした。
その笑顔の理由も踏みつぶす訳もサッパリ分からないんですが…。
彼の白シャツの背中に、足跡がくっきり2つほど付いたことは言うまでもありません。

「まぁまぁ…アサミがモテるかは置いておいて…、せっかくの部活休みなんだからさ、俺たちだけで行っちゃおうぜ。」

背中をさすりながらバネさんが立ち上がる。

「うん、ホントは行きたいけど大事な用事なんだ。ごめんね。」

そう…今日は中学の同級生、川島とアネゴと丼に会う日。

「よ~し!じゃあ今日はおもっきり遊びましょう!!」

「あれ…?オイ!サエさんは行かないのかよ?」

バネさんが引き留める方向には、帰ろうと鞄を持つサエさん。

「うん、別にアサミが行かないんならいいやって。」

「まったく…サエさんはアサミさんの保護者なんだから…。」

「ちょ…保護者って…剣太郎くん!ウチら同級生!!」

「まぁ、昔からサエはみんなの中でもしっかりしていたからな。」

「そんなバネさんは、僕らのお兄さんですよね!」

「あぁ…まぁな。妹たちの世話にはいっつも苦労するぜ。」

だから同級生だってば…。
わ…私の主張は無視ですか。
そんなことをやりとりしているうちに、サエさんは部室から出て行ってしまったみたい。
もう…まったくしょうがないんだから…。

「ごめんね、私ももう行く!」

「あ…あぁ、アサミ、じゃあな!」

「うん!また明日!!」

私も放っぽり出しておいた荷物を慌ててまとめて、サエさんを追っかけて部室を飛び出した。

「慌てて走って転ぶなよ~♪」

「妹…って言うより、バネさん…アサミさんをからかってるだけでしょう。」

そんな2人の会話を後ろで聞きながら…。