「どうするつもりやっさー?」

それから私は、有無を言わさずこの人たちと一緒に歩かされる羽目になってしまった。
でも…ただでさえ無人で心細かったところに、
少なくとも近くに「人間がいる」って思えるのは幸せだった。

……この柄の悪さが無かったらね(怒)。

「やー、いったい何処から来たんさー?」

「見ちゃんら、随分ひ弱ないなぐぐわーやさ。」

「そりゃ、ケーちゃんに比べたらみんなひ弱になっちまうさー。」

「ここの住民でないことは間違いないでしょうね。」

この人たち…答える余地を与えてくれない…。
勝手に会話がどんどん進んでいく(しかも内容は微妙にしかわからない)中で、私は黙々と歩くしか道は残されてなかった。
しかも、言葉は分からないけど…何だろな~、馬鹿にされてる感が…。

「は~ぁ、早くみんなのとこに帰りたい…。」

川島、アネゴ、ドン…。
何で私ばっかり…と、おっき~~~~~~な、ため息を1回。
そんなときだった。

「見てみ、えいしろー。あそこにも誰か倒れちょるぞ?!」

突然茶髪帽子の男が叫ぶと、一目散に走っていった。
さっきから思ってるだけど、この人たち動きがめちゃめちゃ素早い。
歩いたりする速さ…というより、身のこなし?太っているケーちゃんと呼ばれる男ですら、その動きはとてもスムーズだった。

「またですか…甲斐クン、もう拾い物は勘弁してくださいよ。」

ひ…拾い物って…。
えいしろーと呼ばれたその男は、ブツブツ文句を言いつつも、甲斐クンの方へと歩いていく。

「まったくもう…単独行動ばっかりしてると…ゴーヤくわ…。」

「え…えいしろー!!何でコイツが此処にいるんやっさー!!?」

えいしろーの声をさえぎるようにして、甲斐クンが大きな声で叫ぶ。
とはいえ、えいしろーも気になったらしい。
さっきよりも気持ち歩みを速めて甲斐クンの方へと進んでいく。
一足早く甲斐クンのもとにたどり着いた、金髪ロン毛の男が、倒れている人を覗き込むと、「げっ!」とあまり歓迎されない叫びをあげた。

「……佐伯…やー、なんでこんなところに…。」

覗き込んでビックリした。
美しい寝顔で眠りこけているのは、さっき学校で分かれたばかりのサエさん…佐伯虎次郎だったのだから。