「う、たは、をすきに、なっ、てよかった。」



「そ、うた……。」



「わらっ、て。」



「……っ。」



こぼれそうになる涙をこらえて。
私はめいいっぱいの笑顔を浮かべる。
それを見た爽太は満足そうに笑い、



「あ、りがとう、うた、は。」



そう言って、目を閉じた。



握っていた手は私の手をするりと抜け。
力なく、横たわった。



「そ、うた……!!」



6月の末。夏の風が外を吹く頃。
風見爽太、18歳。
その短い生涯は幕を閉じた。