名前を呼べばまた指を動かしてくれる。



「爽太?爽太っ、爽太、爽太!!」



何度も名前を呼ぶ。
声が出なくなるまでだって呼び続ける。
間もなくして爽太が目を覚ます。



「爽太っ!あ、な、ナースコール……」



ボタンを押そうとした手を爽太に止められる。
……爽太?



「う、たは。」



「どうしたの、爽太。」



「すき、だ。」



「私だって好きだよ。」



「あい、し、てる。」



「私も愛してるよ。」



ねえ、やめてよ。爽太。
こんな時に。
これじゃあ、爽太。
死ぬ前のお別れみたいでしょ?



「爽太、まだ駄目だよ。
 まだやってないことたくさんあるでしょ。ダメだよ。」



「う、たは。」



「喋っちゃだめ!!」