爽太と付き合ってから3度目の休日。
その日も朝早くから病室へやってきた。
そこはいつもと違って。
いつもは静かな病室とは一転、騒がしく看護師が出入りしていた。


嫌な、予感がした。



「爽太……。爽太っ、爽太!!!!」



慌てて病室に入ろうとすると看護師さんに止められる。
一心不乱に爽太の元へ向かおうとするけど。
大勢の看護師さんに止められて叶わない。


一瞬見えた爽太の顔は。
青白くて、身体は骨が浮いて見えて。
昨日の笑顔が嘘のように。
目を覚まさない爽太の姿があった。


それからの記憶はあまりない。


救急治療室に運ばれた爽太は。
1日後、またいつもの病室へ戻ってきた。


私は家には帰らず、ずっと爽太の隣で手を握っていた。


その手は初めて握った時とはほど遠いもので。
白くて、肉の無い、骨だけが浮かんだ。
冷たい、冷たい手だった。
握り返してくれることがない。




「爽太……、いつ起きるの?」



1ヵ月、まだ経ってないよ。
あと1週間もある。
まだやり残したことだってあるよ。
あのテレビ、明日放送なんだよ。みたいって言ってたでしょ?