気付けばもう高校3年生。
学校生活を送る最後の年。
後悔なんてする気力もなくて。
ただただ、変わり映えのしない外の景色を眺めていた。


高校って、どんなのなんだろうな。
彼女とか、出来たりするのかな。
きっとそういう年頃なんだろうけど。
僕にはよく分からなかった。


好きな人とか、欲しかったな。


手を繋いでデートをしたり。
誰かを愛おしく思ったり。
そういう体験、してみたかったな。


どうして僕は、みんなと違うんだろう。
普通の人が普通に送ることのできる生活を。
なんで僕が。なんで……。



「なんで僕なんだよ……。」



そう呟くと同時に病室をノックする音が聞こえた。


いつもは人が来ない時間帯にノックがしてびっくりする。
焦った……。びっくりさせるなよ。
検査の時間でもないのに。
母さんか?
今日の様子だと来ないだろう。


どうぞ、と言うと。
ゆっくりと扉が開く音が聞こえた。


一向に現れない来客人を不審に思い。
ベッドから起き上がって姿が見えるまで待つと。