「私、用事あるから行くね。」



「あっ、引きとめてごめんね!
 先輩の話できて嬉しかった!
 またね、詩羽ちゃん!!」



“詩羽さんにはそういう人いる?”



そう聞かれた時。
真っ先に先輩の顔が浮かぶと思ってた。
でも、そうじゃなかった。


いつの間にか順位が変わってた。
どのジャンルでも、1位は同じで。


今、何があっても傍にいたい人がいる。
その人が生きる最後の時まで。
傍で見守りたい。
看取ってあげたいと思う人がいる。


出会って1週間そこらで。
本当は何にも知らない。
全然、相手の事を分かってない。


それに、相手を知るには1ヵ月なんて時間はあまりにも短くて。
出会った時からタイムリミットがあって。
でもその残された時間全部。
私の思い出で埋めたい。


好きになる時間とか大きさとか重さとかそんなのどうだっていい。
好きになっちゃったんだから仕方ない。
今は私が、あの人の。爽太の恋人なんだから。


病室まで全力疾走で。
それでも遅くて。
足が遅い自分が憎くなるくらい。
1秒でも早く、君に会いたい。