「あら詩羽ちゃん。どうしたの?」



「こんにちは、お母さんいる?」



「笹原さんならもうすぐ戻ってくるわよ。
 なあに、悩みでもあるの?
 おばさんたち聞くわよ。」



「実は、失恋しちゃって……」



「うそっ!?詩羽ちゃんいい子なのに。
 誰よその子は~。」



「ずっと好きな先輩だったんです。
 すっごくかっこよくて大好きで……」



先輩との思い出話を語る。
泣きたい気持ちをこらえて、できるだけ笑って話す。
こんなところで泣いちゃみんな困るもんね。


話を聞いてくれたおばちゃんたちは。
みんな頭を撫でてくれたり、飴ちゃんをくれたり。
優しい。その優しさが染みる。
きて良かった……。



「詩羽ちゃんにはもっといい子がいるわよ。」



「そうよ~、あっうちの息子なんてどうよ。」



「あははっ、暫く恋愛はいいかなあ。
 なんか疲れちゃった。」



「あら、詩羽来てたの?」