どう会話をしていいのか分からなくなって下を向いていると。
遠くから理央先輩を呼ぶ声が聞こえてきた。
この声……、女の子?



「せっんっぱぁ~い!!」



「わっ。」



勢いよく抱きついたその子は。
先輩好き好きオーラ全開だった。
な、なにこの子。



「先輩っ!一緒に帰りましょ!!
 今日こそ帰ってもらいますからね!!」



「あ、灯。今人と話してるから。」



「えっ、ああごめんなさい!! 
 お邪魔してしまいましたか?」



そう言って頭を下げるその子は。
確か隣のクラスの女の子だった。



「私灯って言います!あなたは?」



「さ、笹原詩羽です。」



「詩羽ちゃん!めっちゃ可愛い名前!!
 ねっ、先輩!!」



「ああ、そうだな。」



その言葉だけで胸が締め付けられる。
先輩……。



「で、先輩今日帰れますかっ?」