パイナップル食べてる途中だった。
つまようじを指して爽太に渡す。
受け取った爽太がもぐもぐと頬張る。
その姿が可愛くて。
ちょっぴり愛おしいなんて思う。



「詩羽。」



「ん?もう1個食べる?」



そう言ってもう一つ差し出そうとすると。
頬に柔らかい感触を感じた。


数秒触れた後それは離れて。
私の手にあるパイナップルを奪って頬張る。
もぐもぐとそれを食べておいしいねなんて言って。
にこにこ笑っている顔を見ながら。


自分の顔の熱が上がっていくのを感じた。



「なっ、ななななななっ。」



頬に触れたものが唇と気付いた瞬間。
私は羞恥心に耐えられなくなって。
爽太のバカっ、と言い放った後病室を走って出ていった。


看護師さんの注意なんて耳に入らなくって。
ただただ、頬に感じる熱だけが。
脳内を支配した。