そうして私は眠れない夜を過ごした後。
再び。
風見さんの病室の前に立っていた。


先輩に振られた痛みも癒えてない。
それにまだ先輩の事が好きだ。
それだけど、風見さんの事が忘れられない。
あの泣きそうな顔が頭から離れない。


余命の事も。


私、1ヶ月後きっと傷つくだろうな。
今以上に涙を流すんだろうな。


それでも仕方ない。
自分で選んだ道だもの。
後悔だけは、したくない。


深呼吸をひとつして、
私は思いきり病室を開けた。


それは自分でも思った以上に力んでいたみたいで。
パアンッと病院内に響き渡ってしまった。
通りすがりの看護師さんには怒られてしまい。


気まずいながらに病室に入ると。
笑うのをこらえた風見さんがこっちを見て噴き出していた。



「……笑わないでください。」



「ご、ごめん……つい……っぷ。」



「ちょっと!!」



ツボったのか、風見さんは暫く笑っていて。
それにつられて私も笑ってしまった。
充分に笑い終えた後。