「恋愛、というものが一体どういうものなのか知りたいのです。」



「えっと……。」



「もちろん、キスをしろとかそれ以上の事をしろとかそういうのじゃないですよ。
 身体的に難しいので。」



「そ、そそそれ以上って!!」



「ただ、恋する気持ちとかそういうのが気になって。
 年頃なので、一応僕も。」



そう言って外を眺める風見さんの瞳はどこか諦めていて。
悲しく笑う顔に胸が締め付けられた。


救ってあげたい。


そう思っていた。



「ここを訪ねる人は少ないですし、同年代の方なんてもっと。
 この縁を大切にしたいんです。詩羽さん。
 もちろん無理にとは言いません。一回考えてみてくれませんか?
 もし、受け入れてくれるのであれば明日もう一度。
 ここに来て下さい。待っています。」



そう言われて私は病室を後にした。


その日は眠れなかった。
先輩に振られたのに、寝るとき頭の中は。
風見さんの発言でいっぱいだった。




もしかしたら先輩に振られた痛みを和らげてくれる冗談かも。
とか思ったりして見たけど。
あの顔を見たあとじゃ、そんな事とてもじゃないけど思えなかった。