臆病なわたしたちは

「流奈、あいつとは関わらない方がいいと思う」

葉月の透也に対する第一印象は最悪だった。

「あれは杉宮が悪いわけではないだろう。それに、杉宮は少し葉月に似ているところがある。」

自覚はあったのであろう、葉月は流奈の言葉にあからさまに顔をしかめてそっぽを向く。流奈は、そんな葉月を見て、葉月と透也は気が合いそうなのに残念だ、と思った。



「杉宮ぁ、会いに来たよお。」

「お前...毎日毎日来て...暇なのか?」

3日目となると流奈は呼び出す事もせず、透也の席に直接行き、透也をからかう。

「毎日ってまだ3日だろう。今日は葉月の様子を伝えに来たんだ。」

他の教室にずかずかと入ってきたことで目立っていることにはお構いなしに流奈は続ける。

「葉月の君に対する印象は最悪だな。気が合うと思っていたんだが。」

「いや、仲良くしたいわけでもねえし、別にいいんだけど、昨日のやっぱ俺が悪いのか?」

「ところで、君は部活はやっているのか?」

「話聞いてんのか!?」