臆病なわたしたちは

話を途中で切られて、納得ができなかった葉月は、帰り道で流奈を問い詰めた。

「で、どういうこと?」

「?さっき言ったとおりだ。」

葉月は、自分が言わんとしていることを少しも察してくれない流奈に思わずため息をつく。

「そうじゃなくて、どうして友達になれたのかってことよ。杉宮君はもともと友達はいなかったってことだし...流奈だし」

ひそりと付け加えた言葉はしっかり流奈の耳に届き、流奈は眉をひそめたが、葉月は気にする様子もなかった。

「一言余計じゃないか?杉宮は別に人を避けているようではなかったぞ?逆に今まで友達がいなかったっていうことの方が不思議なくらいだ。」

「...流奈が強引すぎたんじゃないの?」

「そんなことはないと思うが...そんなに言うなら葉月も杉宮と会ってみればいいだろう。」

「...そうだね、流奈の友達になれる人には興味がある。」

「いつも思うが、君はよく本人の前でそんなことが言えるな。」

「本人がそんなに気にしてないんだからいいでしょ?」

それもそうか、と流奈は思い、少し感心したような顔をする。

「まあ、葉月が杉宮に興味があるのなら明日にでも会いに行こうか。」

「明日?私はいいけど、杉宮君に迷惑じゃないの?」

「今日行った時点で迷惑だろうし、1回が2回になったところで大して変わるものでもあるまい。それに杉宮は教室で人と話している様子はないし、大丈夫だろう。」

本人のいないところで流奈に雑に扱われる透也を不憫に思いつつ、葉月は透也と会うのを内心楽しみにしていた。