「出て行くって、」
「友達の家とかもあるから、俺は平気だよ?」
「だからそこまでしてもらう理由が、」
「それ、今説明したよね?」
「でも、」
ほんの瞬間的に鋭くなった視線に口籠ると、結児君はまたいつものように頬を緩めた。
「めいちゃん」
「・・・」
「ハンバーグ」
「へ?」
次は何を言い出すのかと警戒する私を余所に、どこまでもマイペースらしい男は、私の前に置かれた皿を見ると、
「食べないなら、もらってもいい?」
子供みたいなことを聞いてきた。
「な、なんで急に、」
「俺欲張りだから。好きな物は絶対に手に入れたいんだ」
「・・・っ」
とんでもない男の部屋に入ってしまったのかもしれない。
今さら気づいてしまった現実に、心臓がまた煩く音を立てた。身体中に響く鼓動が怖いくらいに、私は今、普通じゃない。

