「・・・何これ?」

「うーん・・・オムレツ?」

見せられたお皿の上には80パーセント以上が茶色くなった物体。

「スペイン風オムレツってやつ。この前行った店で食べたんだ」

「・・・え?」

「ん?」

「朝から何してるの?」

「料理」

「うん。それはわかるけれど、今どきの男の子って朝からお料理しちゃうの?しかもなんかわからないお洒落なものとか挑戦しちゃうの?目玉焼きじゃダメだったの?」

だってコレ、誰が食べるの!?

「いつもなら目玉焼きでもいいって言うか、トーストだけで十分なんだけど、今日はめいちゃん仕事だから」

「・・・へ?は?私?」

「うん。仕事行く前は、ちゃんと食べた方がいいかと思って、作ってみたんだ」

「・・・」

その言葉に、不覚にも可愛いと思った。
明らかに女が選んだであろう赤いエプロンを着けて、丸焦げのオムレツを持つ湊結児を可愛いと思った。