「それって、貶してるの?」
「貶すわけないよ。それにもう逃がさないから」
「待って!手、離して!」
「煩いなー」
「え?」
強引に絡められる指先が、きゅっと握られた。
「いいから、帰るよ」
そう言って私の手を引いた結児君の背中に、不覚にも心臓が跳ねた。
指先の熱が、私の身体を蝕むように伝わっていく。
それが嫌ではないのだから、どうしようもない。
「めいちゃん、こっちだよ」
電車を降りて改札を出ても、結児君は手を離さなかった。
制服姿の結児君と手を繋いで電車に乗ることを全力で拒んだけれど、あの流れで許してもらえるわけもなく、もう諦めたようにその手を握っている。
「そっちの道は好きじゃない」
「でもこっちからだと遠回りじゃない?」
「たいして変わらないから、こっちがいい」
こんな時にも我儘を言う自分はどうかと思うけど、こんな時だから通りたくない道もある。
「・・・ああ、そういうこと」

