「おねーさん」
仕事を終えて病院を出た私を待っていたのは、聞き慣れた声とは少し違う、鼻声の男子高校生だった。
「おねーさん、聞こえてる?」
驚くよりも、泣きたくなった。
「ねえ、めいちゃん」
待っていてくれた。あれから何時間も経ったのに、私が出てくるのを待っていてくれた。
「待ちくたびれたから、無視とかなしね」
「・・・何、してるの?」
「聞かないとわからない?」
わからないのではなくて、わからないふりをしたかった。
知られるのが、恥ずかしかった。
「めいちゃんのこと待って、」
「わ、私、急いでるから!」
言葉を遮るように出した声に、結児君が顔を顰める。
でも今は何を話せばいいのかわからないし、会えないよ。
結児君が待っていてくれることを期待していたなんて、言えるわけもないし、知られたくない。
「急いでるって?」
「それはその・・・」
黙る私に、結児君も同じように黙る。
あんな風に傷つけたのは私なのに、それでもこの状況を喜ぶ自分が、すごく汚い人間に思える。

