「お兄ちゃん、なに?なんで笑ってるの」


わたしは知っている。
兄が優しく微笑むときは何かお願い事があるときだ。
それも良いことではなく、不幸な願い事。


わたしの問に兄が不気味に笑った。


「さすが俺の妹だな、率直に言う」


思わず息を飲む。
兄のお願いにこれほど緊張する妹は、きっとわたしくらいしかいないだろう。



「明日俺の代わりにバイト行ってよ」



「っへ???」




思わず気の抜けた声が出てしまった。
いや、だってもっと酷なことだと思ったからさ。