『…え、誰………』



…俺を知らないことにも驚いたが、それよりも気になったのが…あの目の既視感だ。



あの完全に冷えきった目


どん底にいる訳でも、絶望の淵にある訳でも
無さそうなのに


全てを諦めたかのように
冷たく、冷たく見据えている。







そしてあの見た目…

一件普通の女子生徒に見えて
全身を取り繕っているような気がする。


肌に、自分自身に馴染んでないような…


それはまるで“自分は普通です”とわざとらしく
主張しているようだった。





そして涼もそれを察しているような感じだ。


「…屋上行くか」


とりあえず騒がしい場所から離れたいと思い

転校初日であるに関わらず、恒例の屋上へ足を進めた。