「俺たちの事…知らないのか?」


…………自意識過剰か。


「知らない。」


そもそも興味すら無い。


「…………俺らの自己紹介聞いてた…?」

「………………。」


…そんなものやってたか?

私は記憶を掘り起こしてみるがそれらしき記憶は無い。




「ぎゃははは!!

そいつ地味子だから噂も回ってこねぇんだよ!」



と、突然前から聞こえてくる声が…。


……前に人なんていたのか。

ある事に集中しすぎると周りが見えなくなってしまう、私の悪い癖。

地味子、というのは私の今の格好のこと。

黒髪お下げの三つ編みウィッグを着用し、目には黒いアイコンタクト。

しまいには長い前髪にまるい瓶底メガネ。

顔がもはや口しか見えない。

服装は定番の第1ボタンはきっちり閉めて、膝下のスカート、というもの。

昭和かよ、っつう話だ。


「しょうがないよ。

地味子ちゃんはそういうかっこが一番落ち着くんだから。」


と、右斜め前の席の女好きらしき男。

地味子ちゃんってなんだ。

意味のないちゃん付けうぜぇ。

好きでこんな格好してる訳じゃないし。


「3人ともずるぅ~い!!

ボクもその子とお話ししたい!!」


次は前の前から。

……中学生か?

私服で歩いていたらほとんどの人が間違えるだろう。


「……。」


よく見ると女嫌いらしき男が右斜め前の前に。

図表化すると…



窓| 男   女
窓| 女   男
窓|中学生 女嫌い
窓|煩いの 女好き
窓| 私  自意識過剰


こんな感じか?