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キャァァァァアアア!!!!!!!


書いている時にそんな声が聞こえた。

え、…え?

事件か?!

まさか私が『--』ということがバレて他の---が?!?!


……と思ったけど違ったようだ。



声は教卓の方へ向けられている。

大方、転校生が来てそれがイケメンだった、なんて理由だろう。

定番中の定番だ。

私は興味が微塵もわかない為、また原稿用紙に目を移した。



─────男の首と共に、血飛沫が宙を舞った。



実際にあった事だからこそ、ここまで詳しく書ける。

今書いているのは昨日の仕事の事だ。

やはりノンフィクションを1日ごとに書いているとなると、1日に書ける量も限られてくる。

そしてもうすぐ直木賞が決まる季節。

小説にフィクションを少し入れて、どうにか話を終わらせなくてはならない。

募集期間は後3週間程で終わってしまう。

私は執筆に、さらに力を入れた。




カリカリカリ…………。



ふと、私の横に人が座っている事に気がついた。

なんで隣に人が??

……それより、

やばい。

このグロテスクな文章を見て、他人はどう思うのだろう……。

基本ポーカーフェイスの私でも、少し冷汗を書いた。


ていうか、誰だ?


自分から私に近付いてくるなんてどんな命知らずだろう。










「おい。」



何かそっちから話しかけてきた。

……男?

私はその男に目を向ける。

誰?

見た事のない顔だ。



「誰?」


私がそう言うと男は目を見開く。

何か私は変な発言をしたらしい。