「ひぃぃいひひひっ!」
「ヒャッハハハハァァアア!!!」
「ヒュィィイイイイッッアアアアア!!!!」



不気味な声が響く路地裏。
この声は恐らく、麻薬という快楽と苦しみのクスリに侵されてしまった人々の声。




─────誘惑に負けてしまった、憐れな愚民共の、声。





血の朱が、飛ぶ。

飛ぶ、飛ぶ。
止まることなく、いつまでも。






嗚呼。



なんて、美しい。


でも、この朱は、アカは。


私の、もの。

私だけの、もの。




一際多く、血飛沫が飛ぶ。

私は朱に染まる、染まる。



人々の正気を奪ったクスリの元──つまり、クスリを売っているニンゲンを、

斬る。きる。キル。



カラダの奥から込み上げてくる快感と衝動を手に持っている刀に注ぎ込む。


愉しい。


それ以上の言葉では言い表せない、感情。


私が思うに、この快感も一種のクスリである。
つまり、私も快楽に負けてしまった卑しいニンゲン。
でも、止められない。
一度ハマれば、もう抜け出せない。




……外れてしまう。

私を抑えている、たった一つの“理性”という枷が。────────────