私は学校を出ると家へ帰った。

高級住宅街の一角にある一軒家。

それが私の家だ。

ただっ広い庭にダブルベッドが2個も置ける玄関。

俗に言う豪邸って奴だ。

基本的に私は物を使わない為、家にある物も少ない。

広く感じるのは恐らく、それも原因だろう。

白い大理石で形作られた大きな階段を上り、右に進んで1番奥が私の部屋。

と言っても、一人暮らしの為自分の部屋もくそもないが。

自室の扉を開ける。

黒で統一された部屋は黒いカーテンで覆われ、昼間でも薄暗い。

私はクローゼットから黒のパーカーとチェックでプリーツのミニスカートを取り出すとそれを身につける。

学校で着けている黒いおさげのウィッグと瓶底メガネ、黒いカラコンを外す。

私の本当の姿は、腰の長さまである朱色の髪にハイライトの失われた朱色の目。

私はふぅ、と息をつく。

私に関わる人なんてオモテにもウラにもいなかったから、こんなに腹が立ったのは久々だ。

「じゃ、行きますか」

私はフードを深く被ってから家から出て、繁華街に向かう。

繁華街の路地裏には集団リンチは勿論、人身売買や臓器取引、他にも麻薬売買などの幅広い分野の犯罪が犯されている。

そういう輩を今から……




殺しにいく。



依頼は来てないがこれは私の趣味であり、同時に平和にも繋がる。


なんて素晴らしい。


人々の安全は守られるし、私だって快楽を手にできる。

この行為は民間も私も得をする、言わばWIN&WINの関係。

無駄な殺生を好まない私にとっても、犯罪者ならば殺しても損はないし、私の被害者には弁解の余地などない。

不思議と口角が上がるのを自覚する。

さあ、宴の始まりだ。