誰かに花を贈るなんて、いつ以来だろうか?幼い頃は、忙しい母親の気を引きたくて、庭先にある小さな花を摘んで彼女にプレゼントをしていた気がする。 あの頃の自分は家族というものが全てで、それ以外は必要無いと思う程に盲目的だった。 母のために良い子供であろうと努めていた時代だ。 「……」 手にしていたブーケを見つめてから、妙な考えを振り払う。 明確な打算もなく、誰かの為の贈り物なんて本当にあの頃以来だろう。