穏やかな春の日差し。
桜が風に舞い、視界いっぱいに桃色。
太陽も丁度良く暖かく、なんというか流石”春眠暁を覚えず”って感じだ。
今日こんな日でなければ、そこら辺にある公園のベンチに寝そべってお昼寝したい。
コツコツと地面を踏む度に音を鳴らす茶色のローファー。
黒と赤を基調としたワンピース型の制服が桜と共に風に舞う。
けれど、歩く度にすれ違う人から視線を浴びる。
モテるからとか決してそういうのではない。
今まで視線の先で人々がする表情は゛畏怖゛。
ただ、それだけだった。
「仕方ないよねぇ。」
あははと呆れながらから笑いをすれば、風に舞ってきた自分の背中の真ん中まである髪。
それはまるで。
老婆の様な白。
私はそれを見ては何回も自嘲する。
暫く歩くとオレンジ色に装飾されたミラーカーブ。
そのミラーに写る自分の瞳は血のような赤。
「…気味が悪い。」
自分で呟くと、更にカーブミラーに写る自分が醜く見えてしまい、その場から逃げたしたくて地面を蹴った。
早く、早く、自分の存在がここから消えてしまえばいいと願ってしまう。