土、日、月曜日を陰鬱と過ごして、やっと火曜日になった。

とりあえず、今日も昨日も朝に行ってみたけど、やっぱり鍵がかかっていた。

もちろん授業は上の空だった。茜に会いたいとばかり思っていた。

ようやく火曜日になり、私は変ににやけてくる顔を押さえるので精一杯だ。

放課後に、私はすぐに教室を飛び出す。

走ったのは久しぶりな気がした。

扉の前にあっという間に着いて、私は荒くなった息を整えた。

心臓の音が、自分の耳にはっきり聞こえる。木槌で木の幹を叩いているような音だった。

私は汗ばむ手を扉にかけ、ゆっくりスライドさせた。

(今日は絶対いる。)

妙な確信があった。いないという気が全くしなかった。

まず、何をしゃべろうか。私のことを覚えていてくれるだろうか。

そんな事ばかりが、瞬時に頭の中をぐるぐるまわった。

少しずつ開いていく扉の隙間から、強烈な西陽が差し込む。

私にはそれが、茜の後光のように思えた。

眩しい光の中に、黒い人影が見えた。

そして目の前には、キャンパスと胸像。

そして椅子に座る人影が見えた。