学校祭中の校内は、まるでフライパンの上のポップコーンみたいだ。

みんな気が狂ったように騒ぐ。

何が楽しいのか、笑い、叫び、そして踊る。
吐き気がする。

体育館では、三年男子のバンドが披露されていて、皆それを見に行ってしまった。

極端に数の減った校舎内。

それでも私にはまだうるさい。

どうせ静かになるなら、何も聞こえないぐらいがいい。

蝶の羽音とか、空気の呼吸とか、それぐらいがちょうどいい。

空になったコーラの缶を、ゴミ箱に投げ捨てる。

わかってはいたが不快な音がする。

(ただ静かにいたいだけなのに)

私の世界には私の声すら不要だ。

私は音のない方へと、階段をゆっくり上がっていった。