美佐子のことを思って、という気持ちは半分くらいで、あとの半分は意地になっていたんだと思う。
「ふざけんな。絶対に『遊んでください』って言わせてやる!」
みたいな。
毎日、毎日、根気よく誘っていた。
ある日、
「言うこときいてくれたら遊んであげる」
ぶっきらぼうな言い方ではあったものの、美佐子の口からその言葉を聞けたときは、腹を立てるどころか両手を挙げて喜んだ。
嬉しかった。
心を開いてくれたことが嬉しくて、
「雪、降らせてよ」
普通なら笑いとばしてもいいほど無茶な願い事も、叶えてやりたいって。
本気でそう思った。



