染まらない雪



手に持ったシャーペンをくるりと回せば、そのまま床へ飛んでいってしまった。


もうすぐテストなのに、授業を聞く気にはなれなくて。


落ちたシャーペンも拾わずに、ただぼーっと時間が過ぎるのを待つ。



…なーんで、協力するなんて言っちゃったかな。


はあ……。



「……あたしのバカ。ハゲ」


「三好ぃ?なにがハゲなんだ?」



ドスの効いた声が聞こえてビクリとする。


……やばい。


これは本当にやばい。



「いやー、あの……あはは?」


「三好は放課後職員室に来るように。他のやつらも笑うな!」



笑ってみたけどまったく効果はなかった。


よりによってこの授業…。


ハゲてる先生が担当の授業でハゲって言っちゃうなんて…。


やらかした…。