染まらない雪



「じゃ、明日頼んだ」


「……うん」



気がつくともうご飯の時間だった。


パタリと閉まった扉に、すこし虚しさを感じる。



大吾がカンナを好き。


ひとりになって頭に浮かぶのはそればかりで。



告白の返事は分かっている。


大吾とずっと一緒に過ごしてきたように、カンナともいつも一緒にいた。


だからこそ、というか。



好きだから、大吾の気持ちには気づけなかった。なにも見えていなかった。


だけど、カンナの気持ちには気づいていた。


気づかないわけがなかったんだ。



カンナと大吾がふたりで話しているとき、遠くから盗み見ていた。


そのときのカンナの表情が、恋する乙女で。


嫌と言うほどそれを眺めていた。


そちらにばかり、気をとられていた。