染まらない雪



…ああ、そうか。


大吾の顔が赤いのは夕日のせいなんだ。


きっと、そうだ。



「……っ」



大吾の視線に耐えられなくなって、窓の外に目をやるとどんよりとした雲が空を覆っていた。



…夕日のせいなんかじゃ、ない。


じゃあ、なんで?


どうして大吾はそんな顔をしているの?



「……マリ、駄目?」



あたしを伺うように見る大吾。



やめてよ。そんな顔で見ないでよ。


……協力なんて、したくないの。



「あた、しは…」


「マリ……?」



大吾は、あたしが好きだって言ったら驚くかな。


どんな反応するかな。



そんなことを思って想像して見たけど、浮かぶのは冗談やめろよと笑う大吾ばかりで。