染まらない雪



「マリ、あのさ」


「やだ」


「まだ何も言ってねーだろ」



冬のある日、幼馴染があたしの部屋に遊びにきた。


学校じゃ爽やかイケメンとか噂されてる酒井大吾とかいう男。


そんな男が、平々凡々なあたしの幼馴染だ。



「で、なに?」


「いやぁ、なんて言うか…えっと…」


「モジモジしてなによ」



目の前で正座してビシッとした顔をしたり、恥ずかしそうな顔をしたりしている大吾。


はっきり言って気持ち悪い。


それになにか言いたいことがあるならはっきり言って欲しいんだけど。



でも、大吾のこんな顔、初めて見たかもしれない。


今までいろんな表情を見てきたけど、こんな顔、あたしは知らないよ。