染まらない雪



「……ね、カンナ」


「んー?」


「放課後、話したいことがあるから、教室残ってもらってもいい?」


「いいけど…マリ、ハゲ先に呼び出されてるじゃん」


「あー…。どうにかなるよ。お願い」



そうだった。あのハゲに呼び出されたんだった。


タイミングが悪いよ、もう。



「分かった。じゃあマリが帰ってくるまで待ってるから」


「……うん。カンナ、自分の気持ちに正直にね」


「え?どうしたの、急に」


「…なんでもないよ」



首をかしげたカンナはチャイムをきいて自分の席に戻る。


そんなカンナを眺めながら脳裏に浮かぶのはあの日のこと。



カンナが、大吾を好きだと気付いた日。


……それは、あたしが大吾を好きだと、カンナに伝えた日でもあるんだ。