学校に着いた私は下駄箱の扉を開けた。

そのとき後ろから誰かに抱きつかれた。

「おっはよーう‼︎」

幼馴染の莉央だ。

彼女はいつもハイテンションで小さい頃から

私に構ってくれる、頼れる心友だ。

「おはよう、莉央。今日はなにかあった?」

彼女が私に抱きつく時は何かあった時だけだ

からだ。

すると彼女は顔を赤くしながらいった。

「カレシができたんだ…!」

「もしかして、前に言ってた相良先輩?」

莉央は赤くなった顔を手で隠しながら頷く。

「よかったじゃん!OKもらえたんだね‼︎」

以前から私は、彼女にどうすれば良いか…と

相談を受けていた。

だから、莉央と先輩がくっついたということ

は正直に嬉しかった。

〔キーンコーンカーンコーン〕

「莉央、とりあえず教室に行こう!」

朝のホームルームが始まる五分前のチャイム

がなったため私たちは急いで教室に向かった。

教室のドアを開けて中に入ると、みんなわい

わい楽しそうに話していた。

そのうちの1人が私たちに気づくと、みんなは

こっちを向いて

「おはよう!」

と言ってくれた。

私たちも

「おはよう‼︎」

と返す。

ただ1人を除いては…。

その1人とは1番後ろの1番端に座っている神谷

遊くんだ。

彼は大人しいタイプなため、このわいわいし

たクラスにはあっていない…私は4月頃からそ

う思っていた。

わいわいしながら一致団結する私たちと、一

匹オオカミな彼。

真反対な彼とこの先やっていけるのだろうか…?