「じゃあ、帰るね。アリスちゃん。」 男はベッドから立ち上がり乱れた着衣を整えながら言った。 「また、ご指名お待ちしてます。」 パタン 乾いたドアの閉まる音が、部屋に無惨に響く。 美風は軋むベッドの中で静かに涙した。 いつから、こんなに汚れてしまったんだろう。 いつから、アリスって呼ばれるのに慣れてしまったんだろう。 いつから、世界が灰色になったんだろう。