―――


「ただいま」



宮野は明かりの消えたダイニングを覗きこんだ。


もう寝たのか?



手探りでスイッチをつける。



パッと明かりがつくと、そこに佳苗が座っていた。


思わず息を呑む。


「・・なんだ、起きてたのか。電気もつけないでどうした?」


「――あなた」


佳苗は真っ直ぐに宮野を見た。


「ん?」


いつもと様子の違う佳苗に、宮野は戸惑った。


「―――このまま知らない振りをするつもりだった・・・。でも、もう限界」


「何のことだ?」



「自分の胸に手を当ててよく考えてみなさいよ!」



佳苗の目から大粒の涙が溢れ落ちる。


「今日・・・あなたの浮気相手が私の仕事場に来たわ」


宮野の顔がサーっと青ざめていった。