「宮野さん」

佳苗は焦点の合わない目でボーッと一点を見つめていた。

「宮野さん」

・・・?

「宮野さん?」

佳苗は、ハッと我にかえった。


スーパーの店長がすぐ横に立っている。

「は、はい?」

「何だか顔色悪いよ。大丈夫?今、レジ混んでないから少し休憩しておいで」

「――すみません」

佳苗はお礼を言って、休憩室に入っていった。


―――


夫の浮気現場を目撃した。


今から一週間前のことだ。


あの日、宮野は日付が変わる直前に帰ってきた。