君の隣で

私はぼんやり椅子に座りながら、一週間前の出来事を思い出していた。

彼と出会った桜の下は、今はもう花びらがちってピンク色の絨毯のようになっている。

それはそれでキレイだけど、私は満開に咲いている桜の方が好きだ。

あの後、私は彼の名前を知った。

『川上陽斗(かわかみはると)』

それが彼の名前。

ちなみに私の名前は桐谷桃音(きりたにももね)。

実は私たち、今……

隣の席なんです。

ほら、五十音順でかときだから、ね?

陽斗くんの顔をいつでも見ることができるんです。

私は入学式のあとすっかり彼を気に入ってしまい、頑張って話しかけた。

すると、すごいニコニコしながら話してくれて、優しくて、カッコよくて。

時々少しイジワルなところもあるけど、私はそんな彼が好き。

綾乃には言ってないけどね。

ちなみに、私も実はまぁまぁ容姿が良くて、

目もぱっちりしてるし、髪は胸元まで伸びて、ほんのり茶色。

それに色素も薄くてスタイルもまぁまぁ良いので、みんな褒めてくれる。

そんなおかげで美男美女で隣同士の二人ってことにされてます。

陽斗くんも私のこと可愛いって言ってくれる。

ちょっとオシャレしただけでもすぐ気づいてくれる。

陽斗くんはホントに素敵な人だ。

でも、多分私には全く興味を持ってないと思う。

とりあえず、頑張って仲良くならなくちゃね。