必死に逃げ回っているとドンっと言う鈍い音を立てて誰かにぶつかった。


「いったた〜。ごめんなさい、大丈夫ですか?」

「へぇ、すんません。あっ!お姉さんだ!」


突然声を上げた女の子に頭を上げると尻餅をついた千代がいた。


「千代だったんだ。ごめんね、前見てなくて。怪我してない?」


「うちは大丈夫どす。お姉さんは?」


「私も平気!」


手を差し伸べて千代を起こすと着物に着いた砂を払ってあげる。