「なんか騒がしくねえか」


屯所が目前に迫った頃、何かに気付いた原田がそう言うと慌てて中から山崎が飛び出してきた。


「山崎さん!何かあったの?」


「局長が襲撃されました。僕は医者を呼んできます!!」


簡潔に私達に告げるとそのまま走り去っていった。


「雪っ、行くぞ!!」


軽く放心状態に陥っていた私の腕を掴むと左之さんは屯所の中へと駆け込んだ。


勇さんの部屋の前に立った時、歳さんに呼び止められた。


「お前は入るな」


「は?何言ってんだよ土方さん…こいつは…あ……」


私より先に左之さんは歳さんに噛み付いたがすぐに何かに気がついたかのように途中で言葉をやめる。


そしてその視線は震える私の手に向けられた。


「雪、近藤さんなら大丈夫だ。医者が来て落ち着いたら呼んでやる。だからそれまでは総司といてくれ。きっとあいつも平常ではいられねえだろうし」