目の前で言い争う二人を呆然と見つめながら心配かけていた事を反省する。
「ありがとう…」
そう言って久し振りにふわりと笑って言うと二人も少しだけ安心したように笑ってくれた。
でも二人が察している通り、そう簡単に気持ちを切り替えることは難しそうだ。
これは、私一人の問題じゃないから。
数馬と裕次郎の手伝いのおかげでいつもより早く支度が終わった私は一人暇を持て余していた。
少しぬるいお茶を持って縁側に座りながら外で稽古をしている四番組、十番組の稽古を眺める。
「おや、雪じゃないか。今日はいい天気だなあ」
「本当ですね、勇さん」
新撰組は数日前に幕臣に取り立てられた。
よほど嬉しかったのだろう、ここ数日は勇さんも歳さんも機嫌が良かった。


