それから数週間後、私達新撰組は西本願寺の僧侶達が提供してくれた不動堂村へと再び屯所を移転した。


私達の耳に武田観柳斎が脱退したと言う知らせが入ったのはそんな時だった。


「あの人、面白かったよね」


団子を片手にそう言う総司に私はお茶を噎せかける。


彼はとても真面目で冗談なんかは聞いたことがない。


話すことと言えば愛する馬越三郎の事か古びた兵学についての話だけで面白いと言うよりかは面倒臭いという印象の方が強い。


「どんなところが?」

「髪型」


やっぱりそんなことだろうと思ったよ。


呆れて何も言えなくなっているとドカドカとうるさい足音が聞こえた。


足音の方へ視線を向けると巡察帰りの永倉、原田の姿があった。