世田谷に着くと一君はすぐに帰って行った。


汗や泥にまみれたままでは総司の身体に害を与える可能性がある上に心配をかけるので風呂に入ってから彼の部屋に向かうことにした。


乾ききらなかった髪を手ぬぐいで乾かしながら廊下を歩いていると縁側に座る影が見えた。


「総司…?」


不審に思いながら声をかけて見るとゆっくりと振り返った影が月光で露わになる。


「お帰り、雪」


「どうやってここまで来たの?」


最近は人の力を借りないと歩くことは愚か体を起こすことすらままならない。


そんな総司がどうやって縁側まで来たのか不思議に思っていると眉尻を下げながら植木屋さんに手伝って貰ったと言う。


「………ねえ、どこに行ってたか…聞かないの?」