「ーーーーーーっっっっ!!!ゲホッゲホッゲホッ…」


男は大きく息を吸い込むと激しく噎せ込んだ。


二人の一部始終を見ていた斎藤は雪を抱き上げると男に近づいた。


「…お前は……さいと…はじめ……」


「勘違いするな、お前を助けたわけではない。文は貰って行く」


短く用件だけ伝えると斎藤は雪を肩に担ぎ世田谷へと足を進めた。


「……ふっ…、さすが新撰組だ……」


男は苦笑を零しながら二人の姿が見えなくなるまで見つめていた。