私からどこまで奪えば気が済むんだ。
みんな死ねば良い。
このまま戦が悪化してみんな死ねば良いんだ。
そうだ、総司が死んだら私も戦に戻ろう。
敵の最後の一人まで殺して最後に自分も死ねば良い。
日ノ本から人なんていなくなれば良い。
「ふふっ…ふふふ……」
そう考えると久方ぶりに心に平穏が訪れ笑みさえ浮かんでいた。
ジャリっ
そんな時、背後から橋音が聞こえた。
振り返る気力もなかった。
「あなたは、近藤雪さんですか」
穏やかな声音で尋ねられるがこの声を聞いたのは初めてだった。
「…実はあなた宛の文を預かっているのですが」
「……ふみ?」
「ええ」
泣き叫び過ぎたせいでか細い声しか出なかったが男には届いたようだった。
私が振り向くよりも先に男は私の正面に向かってきた。
「っっっっっ!!!!」
その顔を見た途端、身体中の血が沸騰したように沸きだち反射的に男に馬乗りになり首を締めていた。


