地の底から這い上がってくる死人が雪の足や腕を掴み引き摺り込む。


中には雪が斬った敵の顔もある。


彼等の呪怨が束になって襲いかかる。


逃げ場がない。


見渡す限り広がる暗闇。


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。


私はどこにいるの。


何も見えないよ。


どこへ連れて行こうとしているの。


怖いよ、誰か助けて。


助けて、総司!


「お雪さん?」


名前を呼ばれハッと我に帰ると目の前には私を心配そうに見つめる植木屋さんがいた。


「大丈夫ですか?って、お怪我をしてるじゃないですか!ここは私が片付けますからあなたは家内に手当てしてもらってください!」


「え、あ、ちょっ…!」


口を挟む間も無く炊事場から追い出されてしまった。