4月24日


ガシャンッッッ


「あーーー!このお椀気に入ってたのにーー…」


見事に粉々に砕け散ったお椀を見て落胆する。


新八さん達が来てから何日か過ぎた。


あれからこれと言った特別な事も起こらず平穏な生活が続いている。


「っ!」


残骸を掻き集めていると指先を切ってしまった。


見慣れたはずの鮮やかな赤が指先から流れるのを見ているとゾッとする。


ポタッと音を立てて血が零れ落ちると鳥羽伏見での仲間の死顔が頭を駆け抜けた。


「いやっ!!」


苦しくなって胸を掴むと藍色の着物に黒い染みが付いた。


助けてくれ、死にたくない。


地を轟かす砲撃音。


肉を切り裂く音。


肉を貫く鉛玉。


全ての景色が、音が鮮明に思い出される。