二月に入って梅が満開。

春が近いんだなって思うと、それだけでワクワクしてくる。

こんな風にお花を見たことはなかった。

「おお、須藤くんもここで梅見か」

「サンナンさんもですか?」

梅は八木さんとこのが見事だからな、総司。と追加した総長山南さんの言葉に慌てて視線を梅から声の方に向けると、山南さんの背後から沖田さんが現れた。

「紅梅も満開になりましたね」

「はい。暖かい春もすぐに来ますね」

綺麗な綺麗な雪も好きでしたけど、と、真っ白な雪を思い出して。

「雪から白梅の白に移ろって、紅梅が咲くと…桃、桜」

三人で並んで濡れ縁に腰掛けての梅見。

「ところで、須藤くん。困っている事などは無いかね?」

ここであれば、他の隊士も来ぬし、言いたい事は言っておくと良い、とサンナンさんが気遣って優しい言葉。

「男所帯なので面倒な事は沢山ありますが、慣れたので平気ですし…」

腹痛ぐらいですかね、と締め括ったわたしに、サンナンが凄く心配してくれて。

でもホント、ストレスに弱いなんて思ったことないけど、ここのとこ溜まり過ぎてきたのか…

「痛いと言っても、激痛ではなくて、このところ食べると吐き気と一緒に重く差し込むような痛みが少しあるだけで」

大丈夫ですよ、と安心して貰うために笑って。

「最近になって吐き気と腹痛、か」

サンナンさんが反復して言って。

「…あ、孕んだのかな?」

なんて、と冗談で言おうとしたら沖田さんがびっくりしたように遮って。

「蘭丸!あなたはまだ…その、アレが止まったままなのですか?」

「だとすれば、吐き気と腹痛だ。懐妊かも知れぬな」

サンナンさんが当然のように言った!

ち、ち、ちょ、待って!!

「お二人とも!わたしをそんなふしだらな者だと思ってるんですか!」